親が亡くなった後、家の中を整理していて気づくことがある。通帳がない。保険証券がない。不動産の権利証も、契約書の類も見当たらない。かつては引き出しや金庫に保管されていたはずのものが、どこにも見つからないという状況が起きることがある。
紙の資料がないこと自体は、必ずしも不自然なことではない。ペーパーレス化が進み、郵送からメール通知に切り替え、明細もオンラインで確認するようになった人は増えている。しかし、残された家族にとっては、手がかりとなる物理的な痕跡がないという状態に直面することになる。
通帳がないことの意味
通帳が見つからない場合、いくつかの可能性がある。ネット銀行を利用していて紙の通帳が存在しない場合、通帳を記帳していなかった場合、あるいは処分してしまった場合。いずれにしても、口座の存在や残高を確認する手がかりが手元にない状態になる。
保険証券が見つからない
生命保険や損害保険の証券が紙の形で残っていないと、そもそも保険に加入していたのかどうかが分からない。保険会社からの通知がメールのみになっていた場合、家族がその保険の存在を知る手段は限られる。保険金の請求以前に、保険の有無の確認から始めなければならない。
何を探せばいいのか分からない
紙の資料が豊富にある場合は、それを一つずつ確認していけばよい。しかし、資料そのものがない場合、何を探しているのか、何が見つかるはずなのかという見通しが立たない。探す対象が不明なまま探すという行為は、精神的な負荷が大きい。
郵便物から手がかりを探す
紙の資料が残っていない場合、その後に届く郵便物が手がかりになることがある。金融機関からのお知らせ、保険会社からの通知、税金の納付書。しかし、多くの手続きがオンラインに移行していると、郵便物自体が届かないことがある。届くものが少ないと、手がかりも少ない。
キャッシュカードやクレジットカードの存在
財布の中にキャッシュカードやクレジットカードが残っていれば、少なくとも取引のある金融機関を特定できる。しかし、スマートフォンに決済機能を集約していた場合、物理的なカードを持っていないこともある。カードがないということは、手がかりが一つ減るということである。
部屋の中に「何もない」ことへの違和感
親の部屋を片付けているときに、書類らしいものがほとんど出てこないことへの違和感を覚える家族がいる。何かを隠していたのではないか、何かを処分してしまったのではないか、という疑念が生まれることもある。しかし、実際にはオンラインに移行していただけということが多い。その事実が分かるまでの間、不安が続く。
金融機関への照会という選択肢
紙の手がかりがない場合、金融機関に直接照会するという方法がある。ただし、どの金融機関に照会すべきかが分からなければ、手当たり次第に問い合わせることになる。一か所ずつ照会し、該当するかどうかの回答を待つ。その過程は時間がかかり、照会先が多ければ多いほど手間も増える。
デジタルに移行していたことを知らなかった
親がいつの間にか通帳をやめていたり、明細の郵送を停止していたりしたことを、家族が知らない場合がある。親にとっては利便性の向上であったかもしれないが、残された側にとっては情報の断絶につながっている。移行したこと自体が共有されていなかったことが、問題の根にある。
整理できたものだけで全体像が描けるのか
見つかった情報だけで相続の手続きを進めた場合、見落としがないかという不安が残ることがある。すべての口座を把握できているのか、未請求の保険がないか。紙の資料があれば一覧性があったものが、紙がないことによって全体像の把握に不確実さが伴う。その不確実さは、手続きが終わった後も消えにくい。
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