親が亡くなったことを、どこまで誰に伝えるか迷った家庭

相続と人間関係

親が亡くなった。葬儀の準備を進めながら、誰に連絡するかという問題が浮上する。

親戚には知らせる。それは決まっている。しかし、親の友人、近所の人、かつての同僚、趣味の仲間。どこまで知らせるべきなのか、判断がつかない。

連絡先は分かっていても、その人との関係の深さが分からない。親がどの程度の付き合いをしていたのか、子どもには見えていなかった部分がある。

親の人間関係が把握できていない

親がどのような人間関係を築いていたか、子どもは断片的にしか知らない。年賀状のやり取りがあった人、電話で話していた相手、一緒に出かけていた仲間。それぞれの関係の深さは、外からは測れない。

親の携帯電話に登録されている連絡先を見ても、どの人が大切な関係だったのかは分からない。名前を見ても顔が浮かばない人もいる。

知らせることで何が起きるか分からない

訃報を伝えると、相手は何らかの反応をする。葬儀に参列したいと言う人、香典を送ってくる人、連絡が途絶える人。どのような反応が返ってくるか、予測できない。

葬儀を家族だけで行うつもりであれば、知らせることで参列したいという申し出に対応しなければならなくなる。知らせないことで、後から「なぜ教えてくれなかったのか」と言われる可能性もある。

兄弟間で意見が分かれる

誰に知らせるかについて、兄弟の間で意見が分かれることがある。

「あの人には知らせた方がいい」「あの人には知らせなくていい」。それぞれが親との関係を異なる形で見ていたことが、このとき表面化する。

誰かが「この人には連絡する」と決めても、別の兄弟が「その人は知らなくていい」と言う。調整に時間がかかり、連絡のタイミングを逃すこともある。

葬儀の規模が決まらない

誰に知らせるかは、葬儀の規模に直結する。家族葬にするのか、一般の参列者を受け入れるのか。その判断が定まらないと、連絡範囲も決まらない。

葬儀社との打ち合わせが進む中で、会場の広さ、料理の人数、返礼品の数を決める必要がある。連絡範囲が決まらないと、これらの判断も宙に浮く。

知らせなかった人から後で連絡が来る

葬儀が終わった後、知らせなかった人から連絡が来ることがある。

「亡くなったと聞いたのですが」「なぜ教えてくれなかったのですか」。そうした問い合わせに対応する中で、知らせなかった理由を説明しなければならない場面が生まれる。

説明しても納得されないこともある。親との関係を重視していた人ほど、知らされなかったことを残念に思う。

連絡役が一人に集中する

誰に知らせるかを考え、実際に連絡を取る作業は、特定の一人に集中しやすい。親と同居していた子ども、親の携帯電話を預かっている子ども、連絡先を把握している子ども。

その人が、一人ひとりに電話をかけ、訃報を伝え、葬儀の案内をする。同じ説明を何度も繰り返す。時間と精神的な負担がかかる作業である。

知らせる順番の問題

誰に先に知らせるかという順番も、判断が難しい。親戚の中でも、本家と分家、年長者と年少者、関係の近さと遠さ。どの順番で連絡するかで、相手の受け止め方が変わることがある。

「なぜ私より先にあの人に知らせたのか」という不満が生まれることもある。順番を間違えると、後々まで尾を引く。

連絡しないまま時間が過ぎる

迷っているうちに、連絡しないまま時間が過ぎていく。葬儀が終わり、四十九日が過ぎ、気づけば数か月が経っている。

今さら連絡するのも気が引ける。連絡しないまま、そのままになる。相手も、どこかで訃報を知ったかもしれないし、知らないままかもしれない。

親の希望が分からない

親がどの範囲の人に知らせてほしいと思っていたか、分からないことが多い。生前に「自分が死んだらこの人には知らせてくれ」と具体的に伝えていた人は少ない。

親の希望が分からない中で、子どもが判断を下す。その判断が親の意に沿っているかどうかは、確かめようがない。


参考情報
厚生労働省:葬祭に関する情報